もう一度、愛してくれないか

自分でもせつなげな目で、妻を見つめているのがわかる。放ったらかしにして、なにも気づかなかった。

……ちょっと、安心し過ぎたな。
ちょっと、おまえに甘え過ぎたよ。

「……紗香」

妻の名を、声にならないつぶやきで呼ぶ。

狂おしいまでの後悔が、じわじわと、
……おれの心の底から込み上げてくる。

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