もう一度、愛してくれないか
「……上條さんですか?宅配便です」
マンションのエントランスからだった。
「あ…はい、どうぞ」
おれはモニターの「解錠」を押して、エントランスの自動ドアを開けた。
しばらくすると、宅配業者が部屋の前に着いたので、ドアを開ける。
「……失礼しまーす」
玄関先に入ってきた宅配業者が、
「お荷物、どちらまで運びましょうか?」
当然のように尋ねるので、おれが怪訝な顔になる。
「ダンボールで十箱ありますので」
……十箱⁉︎
おれがぎょっとした顔になったため、
「上條……紗香さんのお宅で間違いありませんよね?」
宅配業者が伝票を確認する。
「あ…あぁ、間違いないよ……こっちの部屋に運んでくれ」
紗香が頼んだものか。
おれはウォーキングクローゼット代わりに使っている、玄関から一番近い部屋へ促した。