もう一度、愛してくれないか
クローゼットの隣に白木のワードローブ、その隣に同じシリーズのチェスト、その向かいにはオークリーやタイトリストそしてコンペの商品でもらったマスターバニーなどのゴルフバックがいくつか並んでいる。
さらにその隣にある、おれが出張の際に使うゼロハリバートンのシルバーのキャリーケースに、かつての紗香の誕生日にプレゼントしたダミエ ペガス45のキャリーケースが、寄り添うように置かれてあった。
そんな部屋のほぼ中央に、ダンボールが十箱、鎮座していた。
……いったい、なにが入ってるんだ?
しばし、呆然と佇む。
そのとき、玄関でガチャガチャと音がした。
ドアが開いて、ぱたぱたと足音がして、この部屋をひょいと覗く気配がしたので、振り向く。
……紗香だった。
「あっ、今日着くんだったわ、それ」
彼女はこともなげにそう言って、
「遅くなってごめんなさい。すぐにご飯にするわね。阪神百貨店のデパ地下で、いか焼きの『デラバン』っていうの買ってきたわよ。美味しいんだって」
リビングの端にあるキッチンへと向かった。
鼻歌まじりで、ご機嫌そうに。
……おいっ、紗香っ!この状況を説明しろよっ‼︎
っていうか。
……おいっ、おれっ!
自分のカミさんに、ちゃんと訊けよっ‼︎