もう一度、愛してくれないか

「紗香……本当に行きたいところはないのか?」

メンズ館を出たあと、ヘップ ファイブの前を歩きながら、妻を見つめて訊く。

「……そうねぇ……あっ!」

突然、空に向けて指を差す。

「一度、あれに乗ってみたかったの」

その先には、この街を一望する巨大な観覧車があった。

「……わかった、あれに乗ろう」

おれは彼女の肩を抱いて、搭乗口へ向かった。

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