もう一度、愛してくれないか
真っ赤に塗られたその観覧車は、輪の下部分がビルの中にあった。
そのため、下から昇ってくるゴンドラは、上半分に達するとビルから次々と姿をあらわしていく。
そして、頂上を越えて下半分に達すると、今度はビルの中へ次々と姿を消していった。
搭乗口に行くと、向こうからおれたちと背格好がよく似た二人の男女が降りて来た。
すれ違いざま、二十年くらい前のおれたちみたいだな、と思った。
背が高くてやたら姿勢の良いイケメン(うちの会社にスカウトしたいくらい営業向きの男だった)が、バレリーナのようなお団子頭のちっちゃくてかわいい女性の手首をつかんだまま、ずんずん歩いて去って行った。
「……さぁ、乗ろうぜ」
おれは紗香の肩を抱き寄せ、ゴンドラの方へ促した。