もう一度、愛してくれないか
東◯の長いアーケードを抜けると、いつの間にか人気のない通りに出ていた。東京でいうと、渋谷の円山町みたいな場所だ。
紗香は目をぱちぱちさせている。無理もない。
はるか昔、結婚する前つき合っていた時分にだって、「社長のお嬢さん」だった彼女を、こんなところに連れてきたことはない。
おれは紗香とつないだ手を離して、今度はその肩を抱き寄せた。
それから、目の前にあるホテルの入口をくぐった。