もう一度、愛してくれないか

部屋に入ると、いきなり、でーんと天蓋付きの巨大なベッドが視界に入ってきて、紗香が固まっている。

「……このベッド……ま、回るの?」

震える声でおれに尋ねる。たぶん、なけなしの「知識」を披露したのだろう。

「回るか。いつの時代の話だ」

昭和はとっくに終わって、平成の御代だぞ。

おれの方は、おかしくて震えそうになる肩を堪えるのに必死だ。

だから、さっさとバスルームがあるドアを開けて、バスタブに湯を張りに行った。

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