卒業













コトン……





ポストに何かが落ちる音で目が覚めた。




まだ頭が重い、体も少しダルい。
カーテンからのぞく空はすっかり暗くなっていた。かなり眠っていたようだ。




10年分の疲れがどっと出たのか……




私は重い体を引きずるようにして玄関まで歩き、ドアのポストから手紙を1通取り出した。




私はソファに深く座り込むと、封筒の文字を読んだ。




それは、高校3年生の時のクラス会の案内だった。




封を開けると、懐かしい名前達が目に飛び込んできた。体調の悪さも少し忘れるような、心地よい懐かしさに包まれた……





手紙を読み始めた、その時、まさにクラス会幹事の朋子から電話がかかってきた。




朋子は高校時代、唯一仲良くしてくれた友達だ。彼女からじきじきに参加の要請があり、私は断る理由が見つからなかったため、その場で参加することを伝えた。




電話を切ってから、もう一度じっくり案内を読んでみる。










3年3組…………





…………あ





瀬野尾くんも一緒だ…………





ふわっと学ラン姿の瀬野尾くんが目に浮かんだ。




懐かしいな…………




私はぼんやりと瀬野尾くんと出会った、高校生の頃を思い出した……










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