卒業
学校祭のクラスの出し物が写真屋と決まり、クラスのみんなで、それぞれの役割を決めた。
委員である私と瀬野尾くんは、オールマイティーに何でもやることに。
私に出来るのかな……
9月半ば、今年の夏は残暑が厳しい。
蝉も勘違いしているのか、まだ張り切って鳴いている。
みんな学校祭の準備で大忙しだ。
私も作業を手伝おうとしたが、各班どこも私の手伝いを必要としていないようで……
みんなが楽しそうに準備をしているその様子を横目に、帰り支度をしていた金曜日の放課後。
瀬野尾くんが私のもとへやって来た。
『ねぇ、週末に写真屋の練習しよっか』
突然言われたこの意味が私は分からず、ポカーンとしてしまった。
『土曜日、10時に学校の前で待ち合わせね~』
じゃ、と言うと瀬野尾くんはひらりと片手を振りながら教室を出ていってしまった。
え、え、えーーー
なに、なに、なにーー
私はパニック。
土曜日に瀬野尾くんと……?!
今まで学校以外で男子に会ったことなどない私。
頭の中が真っ白になってしまった。
その日はどうやって家まで帰ったのか、全く覚えていなかった。