卒業
そこには朝倉くんがいた。
朝倉くんは心配そうな顔で私を見つめる。
『飲みすぎた?調子悪い?』
私は首を軽く振った。
『ちょっと心配になって……』
「大丈夫。ごめんね。色々あって……」
私は朝倉くんにこんな顔を見られたことが恥ずかしくて、顔を隠すように下を向いた。
『あ、あのさ、久しぶりに会ってあれだけど………。瀬野尾となんかあった?』
えっ…………
私はビックリして朝倉くんを見た。
『あ、やっぱり………』
「…………別に何も……」
これ以上、朝倉くんにいろいろと聞かれるのが恐かった私は、お手洗いの列を抜け出した。
でも席に戻れば瀬野尾くんがいる。
まだ心の準備が出来ていない……
席に戻ることが出来なかった私は、そのままお店の外へ飛び出した。