卒業
第五章 告白
ずっと好きでした
私と瀬野尾くんの距離が縮まる。
なんて話しかけたらいいのか、なにから伝えたらいいのか、どんな顔をしたらいいのか……。
頭のなかはぐちゃぐちゃだ。
だけどこれだけははっきりしていた。
瀬野尾くんが好き。
私は勇気を出して生くんに声をかけた。
「瀬野尾くん…………」
瀬野尾くんがびっくりしたように私の方を見た。
でも、その表情は月明かりの逆光となって、見てとることが出来ない。
『何やってるの……』
瀬野尾くんがぼそっと呟いた。
「わたし、瀬野尾くんに謝りに来た」
………………。
『こんなところ彼に見つかったらまずいでしょ』
「ちがうの……嘘なの……」
『え?』
「彼氏なんていないの、ごめん」
………………。
『……なんで、そんな嘘。』
瀬野尾くんの足が一歩前に出る。
そして、また一歩、また一歩、ゆっくりだけれど確実にこっちに向かって来る。
私は一歩も動けなかった。