卒業





……………え



一瞬何がどうなったのか分からなかった。



瀬野尾くんの胸に、今、私は包まれている。
瀬野尾くんの匂い。瀬野尾くんの胸の感触。



瀬野尾くんの両腕がギュッと強く、私を抱きしめる。



瀬野尾くんは私の肩に顎を落とし、艶っぽい溜め息をひとつ落とした……。そして低く囁くような甘い声で言った。





『……泣き虫』



………………



『おれがいるだろ、なんで泣くんだよ』




私の涙腺は再び崩壊した……
そしてまた、しゃくりあげるように泣いた、もう自分でも止められなかった……




瀬野尾くんは優しく私の頭を撫でた。まるで子供をあやすように優しくゆっくりと……。







だめだよ……




瀬野尾くん……




そんなことされたら




もっと、もっと……




好きになっちゃう……







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