卒業


でも、少しくすぐったかった。だって今まで友達として付き合ってきたから、急に抱きしめたりしてなんとなく…………



それを考えたとたん、私は自分の顔が耳まで赤くなるのが分かった。急に恥ずかしくなった私。





「……あ、あ、ちょっと離れよっか!暑くなってきた……」






と言って瀬野尾くんの胸を両手で押した。すると、私の赤い顔を見た瀬野尾くんはからかうように言った。



『あー、耳まで真っ赤だよー』




そして、いたずらっ子のように、私の耳を指でツンツンとつつく。

私は恥ずかしくなって、慌てて離れようとまた瀬野尾くんを押した。





『だぁめぇー』






瀬野尾くんはふざけるように両腕で、また私をがっしりホールドする。




『ずーっとずーっとずーーーっと離れないよ』


「ちょっと……」


『だって、ずっーと、こうしたいの我慢していたんだからさ。』



瀬野尾くんは、唇を尖らせて拗ねた顔をする。




………なんて可愛い顔をするの

………あなたのくるくる変わるその表情

………予想の出来ない行動

………いつも胸を打つ言葉をくれるところ






やっぱり私は


あなたの虜です……








今も、瀬野尾くんが私の恥ずかしさを掻き消すように、わざとふざけてくれたの分かってるよ……



ありがとう



だから私も気持ちが楽になった……







「もう、やめて~」


『やめない!やめないよ~』






誰かに見られたら恥ずかしいくらい、私たちは高校生のように、キャッキャとはしゃいでいた……




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