卒業
私は言われた通りにベッドの端に腰かけた。
『じゃ、目を閉じてー』
…………え……
私は次の展開を想像しドキドキに襲われる。
目を閉じる瞼に力が入る。
唇は硬く閉じてしまう…………
…………あ、やっぱり唇はふんわりと、少し開けたほうがいいのかな……
なんてことが頭をぐるぐる…………
すると、首に何か感触があった。
『はい、目あけてー』
……あれ…………
私はちょっとだけ肩透かしを食らった、そんな気分になりながら目を開けた。
そして、さっき首に何か触った感覚を確認するように、自分の首もとを見た。
…………あ
それは、瀬野尾くんとジュエリーショップに行ったとき、私が見ていた誕生石のネックレスだった。
「瀬野尾くん……これ」
瀬野尾くんは嬉しそうに私をみる。
『うん、似合ってる! よかった渡せて。実はねこのネックレス、本当はあの日、告白しようとした日に渡そうと思って用意していたんだ 』
…………え
『俺の一世一代の告白にふさわしいでしょ。でも、もう渡せないかと思ってた…………よかった、渡せて』
「……ありがとう。大切にする。」
私は瀬野尾くんから初めてもらった、突然のプレゼントに目頭が熱くなった。