レイニー・ハレーション
確かにそれを見るまでは覚めかけた部分と迷っていた心が微妙にリンクした所もあって、気持ちの整理に区切りをつける勇気がなかったの。
未練とは別の意味でね…
でも、まるで友達に宛てた手紙の様なその内容で彼の全てが読めたわ。
初めから分かっていた筈なんだけど、私よりも夢を選んだあなたに何故こんな事が書けるの、って…それを伝えたら帰るつもりでいたの。
でもその必要もなくなったわ。
あの手紙を書き終えた後、私も彼の様に気持ちが変わっていたから…」

「…僕にはどうしても、分からない事が…」

取り出した2通のエアメールを彼女に差し出すと、

「特に深い意味はないの…粋な計らいでしょ?」

彼女は受け取ったそのメールで口元を隠し、瞳で微笑んだ。

「お時間があればディナーでも御一緒にどうかしら!?」

「レディーのお誘いを断る特別な理由もないから…お言葉に甘えようかな」

彼女の好意を快く受けた僕ではあったが、

「どこかに予約を入れてあるの?」

「ううん…急な約束だったでしょ?これから決めようと思って…」

「それだったら、とっておきの場所に御招待するよ」
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