【超短編 25】 終日が終わる日には
街よりずっと遠くの空のもっと奥のほうに光が差している、ように見えた。
「そろそろ行くよ」
 僕が重い腰を上げて、ホームのベンチから立ち上がると 
「コーヒー、ご馳走様」
と彼は頭を下げずにお礼を言った。
 彼の横にあった缶コーヒーを持ち上げると、中身は入っていなかった。
 僕は2本の空き缶をくずかごに捨てて彼に別れを告げた。
「楽しかったよ、ありがとう」
「空き缶は捨てるんだね」
 彼は眉一つ動かさずに皮肉を言った。
「そういう時代だからね」
 僕は少し笑いながら、皮肉で答えた。

 彼も少し笑ったように見えた。
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