向日葵
「うっす、今日も稼ぐねぇ。」


聞き慣れた声とそんな言葉に、ため息混じりに煙草の煙を吐き出せば、いかにも怪しげな金融屋スタイルに身を包んだ智也が、こちらへと足を進めてくる。


正直、こんな格好のヤツとなんて、並んで居たくないのが本音なのだが。



「暇してんだったら、お昼でも食べさせてよ。」


「割り勘なら良いけど?」


「ケチ。」


ブスッとしたあたしをケラケラと笑い、智也は隣で煙草を咥えた。


人の多い巡回通りだが、智也の格好は悪目立ちしていて、チラチラとこちらの様子を伺う人々の視線が、若干痛い。



「で、ホントの用件は?」


「いや、最近どうかと思って。」


まぁ、予想はしていたものの、問われた言葉にまた、あたしはため息を混じらせてしまう。


全然元気、なんて言葉も言えなくて、だけどもそんなあたしの様子に気付いたのか彼は、無言のままに肩をすくめた。


すくめて、そして“上手くいってなさそうだな”と、そうポツリと一言だけ。



「あたし、何やってんだろうなぁ、って。」


抜けるような青い空を仰ぎながらに漏らした言葉に、自らで苦笑いを浮かべることしか出来なくなってしまう。


だって顔を上げてないと、笑ってないと、泣いてしまいそうで。


煙草を投げ捨てると、道端に転がるそれは、まるであたしのようだと思ってしまう。



「なぁ、もう一回行くけど。」


そんな前置きをし、智也も同じように煙草を地面へと投げ捨てた。


そしてそれを足でもみ消しながら、ため息混じりに最後の煙を吐き出し、あたしに問う。



「陽平、だっけ?
そいつのこと、ホントに好きなの?」


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