向日葵
どの男と、何度こんな行為を繰り返そうとも、やってることなんて変わりはない。


気持ち良さなんて感じることもなければ、気持ち悪いばかりで嫌になる。


それでもこれでしか、あたしは生きる術を知らないのだ。







「なぁ、アンタっていつも、こんなことやってんの?」


「…こんなこと?」


「誘われれば、誰とでもホテルに入ったりする、ってこと。」


ベッドから体を起こし、煙草を口に咥えれば、男から問われた言葉に、あぁ、そんなことかと思ってしまう。


ため息混じりに煙を部屋の中へと溶け込ませるように吐き出しながらあたしは、“そうだよ”と、そう返した。



「軽蔑してんの?」


「別に。
ただ、自分の彼女だったら絶対アンタみたいなのは無理だと思っただけ。」


随分はっきりと、言いたいことを言ってくれるなと、そう思ってしまうのだが。


そんなあたしとヤってるアンタも、十分似たようなものだと思うのだが。



「良いよ、別に。
あたしは誰とも付き合うつもりなんてないし。」


「いるよね、そういうこと言うヤツ。
どうせアンタ、彼氏に振られてヤケになってるとか、そんなのっしょ?」


「……は?」


今度は知ったかぶりですか、と。


もはや反論する気も起きなくて、“寝るわ”と、そんな言葉を残し、煙草を消してあたしは、ベッドへと体を倒した。


選ぶ男を間違えたかなと、そんなことを思ったのだが、まぁ、寝る場所をくれただけでもありがたいのかもな、と。


それにしても、ひどく虚しいばかりだ。


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