向日葵
小一時間の洗車の後、黒光りしている自らの車を眺め、クロは満足そうに口元を上げる。
あたしはと言えば、付き合わされて若干疲労が溜まってしまい、肩が凝ったようにも感じているわけだけど。
“俺ちょっと、電話してくる”と、そう言った彼は携帯を片手に少し向こうに行ってしまう。
どうしたものかと仰いだ空は、本当に昨日の夜に雨が降ったのかと、思わず疑ってしまうほどに青く抜けるような色をしていた。
♪~♪~♪
どこか聞き覚えのある着信音だなとよくよく耳を傾けてみれば、それはあたしの携帯から流れていて。
やっぱりその存在を忘れていたのだが、お尻のポケットから取り出してみれば、ディスプレイには“智也”の文字。
そこでやっと、連絡することを忘れていたことに気付いたわけだが。
―ピッ
『久しぶりっすねぇ。』
「…いや、すいません。」
『良いけどね、もう。
家出はお前の専売特許だし、いちいち心配してても身が持たないし。』
通話ボタンを押すなり、少し怒っているような、それでいて呆れているような声色が耳に届き、思わず苦笑いを浮かべてしまうわけだけど。
ため息混じりの彼にもう一度“すいません”と形だけの謝罪の言葉を並べてみると、何故だか小さな沈黙が訪れて。
「ねぇ、アンタってあたしのこと好きだったの?」
『は?!』
その瞬間、飲み物でも飲んでいたのか電話口の向こうから、ゴホゴホと咳き込むような声が聞かれて。
思わずあたしは、汚いなぁと、どこか他人事のように思ってしまうわけだが。
『どこからどうなってそうなっちゃったのかは知らないけど、勘違いっしょ。』
「へぇ、良かった。」
仮定の話だとしても、やっぱりあたしは智也のことは、友達だとしか思えないから。
煙草を咥え、煙を抜けるような青い空へと吐き出してやれば、それは雲のように風に消える。
あたしはと言えば、付き合わされて若干疲労が溜まってしまい、肩が凝ったようにも感じているわけだけど。
“俺ちょっと、電話してくる”と、そう言った彼は携帯を片手に少し向こうに行ってしまう。
どうしたものかと仰いだ空は、本当に昨日の夜に雨が降ったのかと、思わず疑ってしまうほどに青く抜けるような色をしていた。
♪~♪~♪
どこか聞き覚えのある着信音だなとよくよく耳を傾けてみれば、それはあたしの携帯から流れていて。
やっぱりその存在を忘れていたのだが、お尻のポケットから取り出してみれば、ディスプレイには“智也”の文字。
そこでやっと、連絡することを忘れていたことに気付いたわけだが。
―ピッ
『久しぶりっすねぇ。』
「…いや、すいません。」
『良いけどね、もう。
家出はお前の専売特許だし、いちいち心配してても身が持たないし。』
通話ボタンを押すなり、少し怒っているような、それでいて呆れているような声色が耳に届き、思わず苦笑いを浮かべてしまうわけだけど。
ため息混じりの彼にもう一度“すいません”と形だけの謝罪の言葉を並べてみると、何故だか小さな沈黙が訪れて。
「ねぇ、アンタってあたしのこと好きだったの?」
『は?!』
その瞬間、飲み物でも飲んでいたのか電話口の向こうから、ゴホゴホと咳き込むような声が聞かれて。
思わずあたしは、汚いなぁと、どこか他人事のように思ってしまうわけだが。
『どこからどうなってそうなっちゃったのかは知らないけど、勘違いっしょ。』
「へぇ、良かった。」
仮定の話だとしても、やっぱりあたしは智也のことは、友達だとしか思えないから。
煙草を咥え、煙を抜けるような青い空へと吐き出してやれば、それは雲のように風に消える。