向日葵
『龍司さんに何か言われた?』
「…いや、どうかな。」
『何だ、やっぱ今も一緒に居るんだ?』
聞かれるとは思っていたが、随分ストレートな問い掛けに、思わずあたしは声を潜ませがちに“うん”としか言えなくて。
またひとつ、智也に借りを作ってしまったことになる。
「アンタ、クロに何言ったの?」
『内緒。
まぁ良いじゃん、結果的に龍司さんのケツに火をつけることが出来たわけだし。』
「…なっ…」
『焦ってるよ、夏希のくせに。
けど、その様子だと、上手くやったようだな。』
隠すこともなく聞こえてくる笑い声に、あたしは“うるさいよ”としか言えなくて。
幾分顔が赤くなっている気がして、呼吸を落ち着けようと吐き出した白灰色は漂い消えて。
『お前の荷物、早いうちに何とかしてくれないと、部屋が狭くて困るんだよね。』
「わかってるよ、もう!」
これ以上話せばもっと墓穴を掘ってしまいそうで、捨て台詞を吐くようにあたしは、電話を切った。
切って、そして頭を抱えるようにため息を混じらせれば、同じタイミングで電話を終えたクロがこちらに近づいてくるのが視界の端に映った。
だけどもその顔色は、何故だかあまり冴えない様子で。
「どしたの?」
「ん、何でもない。」
とても何でもないようには見えないのだが、それを聞くより先に、“帰ろうか”と彼が口にした。
何だかモヤモヤとするものの、ポンポンとあたしの頭の上に置かれた手の平に、思わず恥ずかしくなって顔を逸らしてしまって。
“真っ赤ですけど?”と、わざわざ付け加えられた言葉に、逃げるように車に乗り込んだ。
「…いや、どうかな。」
『何だ、やっぱ今も一緒に居るんだ?』
聞かれるとは思っていたが、随分ストレートな問い掛けに、思わずあたしは声を潜ませがちに“うん”としか言えなくて。
またひとつ、智也に借りを作ってしまったことになる。
「アンタ、クロに何言ったの?」
『内緒。
まぁ良いじゃん、結果的に龍司さんのケツに火をつけることが出来たわけだし。』
「…なっ…」
『焦ってるよ、夏希のくせに。
けど、その様子だと、上手くやったようだな。』
隠すこともなく聞こえてくる笑い声に、あたしは“うるさいよ”としか言えなくて。
幾分顔が赤くなっている気がして、呼吸を落ち着けようと吐き出した白灰色は漂い消えて。
『お前の荷物、早いうちに何とかしてくれないと、部屋が狭くて困るんだよね。』
「わかってるよ、もう!」
これ以上話せばもっと墓穴を掘ってしまいそうで、捨て台詞を吐くようにあたしは、電話を切った。
切って、そして頭を抱えるようにため息を混じらせれば、同じタイミングで電話を終えたクロがこちらに近づいてくるのが視界の端に映った。
だけどもその顔色は、何故だかあまり冴えない様子で。
「どしたの?」
「ん、何でもない。」
とても何でもないようには見えないのだが、それを聞くより先に、“帰ろうか”と彼が口にした。
何だかモヤモヤとするものの、ポンポンとあたしの頭の上に置かれた手の平に、思わず恥ずかしくなって顔を逸らしてしまって。
“真っ赤ですけど?”と、わざわざ付け加えられた言葉に、逃げるように車に乗り込んだ。