向日葵
♪~♪~♪

意識を手繰り寄せてみれば、鳴っているのはあたしの携帯で、ディスプレイには“智也”の文字。


どうせ、クロが何か言ったのだろうと、重い気持ちをため息と一緒に吐き出しながらあたしは、通話ボタンに親指を掛けた。



―ピッ

「用件があるなら、手短にしてくれる?」


『あれ、機嫌悪い?』


「良くはないね。」


『昨日の今日で?』


その言葉からして、智也はクロから何も聞いてはいないのだろうか。


“龍司さんも機嫌悪いし”と、そんなため息混じりの言葉に、思わず反応してしまったのはあたしの方で。



「…クロ、仕事行ってるの?」


『来てるには来てるけど。』


智也は言葉を濁しているみたいだけど、でもあたしは、無意識のうちに安堵のため息を吐き出してしまうのは否めない。


しかしながら、何だか振り回されっ放しで、全然らしくない自分が居るなと、そう思ってしまって。



『今から、ちょっと出て来れない?』


「…行かなきゃダメ?」


『もれなく昼飯奢ってやるけど?』


「食べたくないし、答えになってないじゃん。」


『んなこと言うなよ。
とりあえず、迎えに行ってやるから。』


そんな言葉と共に、あたしの答えを聞くより先に、彼はさっさと電話を切ってしまって。


ため息を混じらせたのだが、仕方がなくあたしは、昨日クロが無理やりに買ってくれたショップの袋を開けた。


真新しい半袖を身に纏えば、完璧にあたしはクロのものだなと、そんなことを思ってしまうのだけれど。


あたし達は今、一体何で繋がっているのだろう。


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