向日葵
第四章-決別-
もう一度
何でこんなことになっているのかはわからないけど、でも、とても良い状況だとは言い難い。
ただ、走り抜ける車窓から眺める街並みは、すっかり雨も上がり、ネオンの色をより鮮明に映し出している気がした。
もちろん、それは隣で運転する彼に嫌にマッチしていて、とてつもなく気分は重くなる一方で。
一体どこに行くのかなんて、未だ知らされていないどころか、先ほどからずっと、無言の状態が続いているわけだけど。
『ねぇ、突然で悪いけど、ちょっと来てくれない?』
そう声を掛けてきたのは、先ほど電話で話したばかりの彼で、相変わらずスーツに紫色のシャツといういでたちは、とても一般人には見えないのだけれど。
余裕タップリの顔で口元を上げているのは何ら変わりはないのだけれど、でも、明らかに違うのは、口元の赤み。
殴られて出来たものだということは、想像に易い。
『…何で、相葉サンが…』
『居場所が知られたくないなら、もっと静かなところで俺に電話してくるべきだったね。
あんな下手くそな歌は、一度聴けばここだってすぐにわかるから。』
失敗したなと、瞬時にそう思ったのだけれど。
だけどもあたしの居場所が分かったことと、相葉サンがここに来ることは、一体何の関係があると言うのか。
『あたしさっき、もう関わらないで欲しいって、言いましたよねぇ?』
『うん、言ってたね。
俺もキミなんかに興味はないんだけど、こっちも状況が変わってね。』
『……え?』
『ってことで、これから付き合ってくれない?』
言い方は下手に出ているけれど、でも、人を斜めに見たような瞳はそのままで、あたしは隠すこともなく眉を寄せた。
寄せて、そして“嫌だ、って言ったら?”と、そんな風に睨めば、彼は心底面倒くさそうな色を滲ませて。
『サチが、キミに会いたがってるよ?』
ただ、走り抜ける車窓から眺める街並みは、すっかり雨も上がり、ネオンの色をより鮮明に映し出している気がした。
もちろん、それは隣で運転する彼に嫌にマッチしていて、とてつもなく気分は重くなる一方で。
一体どこに行くのかなんて、未だ知らされていないどころか、先ほどからずっと、無言の状態が続いているわけだけど。
『ねぇ、突然で悪いけど、ちょっと来てくれない?』
そう声を掛けてきたのは、先ほど電話で話したばかりの彼で、相変わらずスーツに紫色のシャツといういでたちは、とても一般人には見えないのだけれど。
余裕タップリの顔で口元を上げているのは何ら変わりはないのだけれど、でも、明らかに違うのは、口元の赤み。
殴られて出来たものだということは、想像に易い。
『…何で、相葉サンが…』
『居場所が知られたくないなら、もっと静かなところで俺に電話してくるべきだったね。
あんな下手くそな歌は、一度聴けばここだってすぐにわかるから。』
失敗したなと、瞬時にそう思ったのだけれど。
だけどもあたしの居場所が分かったことと、相葉サンがここに来ることは、一体何の関係があると言うのか。
『あたしさっき、もう関わらないで欲しいって、言いましたよねぇ?』
『うん、言ってたね。
俺もキミなんかに興味はないんだけど、こっちも状況が変わってね。』
『……え?』
『ってことで、これから付き合ってくれない?』
言い方は下手に出ているけれど、でも、人を斜めに見たような瞳はそのままで、あたしは隠すこともなく眉を寄せた。
寄せて、そして“嫌だ、って言ったら?”と、そんな風に睨めば、彼は心底面倒くさそうな色を滲ませて。
『サチが、キミに会いたがってるよ?』