向日葵
過去の鎖
あれから数日が過ぎ、6月を迎える頃には、クロは正式に相葉サンのところを辞めたらしいけど。
それでも何かと連絡は取っているらしく、次の仕事をどうするのかなんて、考えているのかいないのか。
あたしはと言えば、ご飯を作ってクロの帰宅を待つだけの生活で、そこに大した変化は見受けられなかった。
それでも本当に旅行に行くことを決めてしまったクロのおかげで、地味にその準備なんかをさせられてるわけだけど。
「よし、これで忘れ物なしだ。」
で、いよいよ明日は温泉旅行出発の日となり、あたしは二人分のボストンバッグの中身を確認し、そして口元を上げてチャックを勢い良く引いた。
何だかんだ言いつつも、あたしだって実は楽しみだったりするのだけれど。
「明日、朝6時起床。」
「は?
そんなに早く起きてどうすんの?」
「旅行は朝からが基本だろ?」
「そんな焦らなくても、目的地は逃げないって。」
「けど、時間は待ってくれねぇだろ。」
もっともらしい言葉を並べながら、クロはそう言ってあたしに瞳を投げるのだけれど。
ひどく眩暈がし、絶対に起きられるわけがないと思いながらにベッドへと倒れ込めば、“しょうがねぇな”と、そんな台詞。
「じゃあ、朝9時出発に変更してやる。」
ミシッと小さくベッドが軋み、仰向けに寝転がっていたあたしの上に覆い被さるような状態で、クロがまたがってきて。
無意識のうちに視線を卓上の時計へと移すあたしに彼は、言葉を投げることはしないまま。
あの日以来、クロは絶対にあたしを求めようとはしなくなった。
本当はセックスなんて好きじゃないけど、でも、気を使わせているのかもしれないと思うと、不安にもなって。
「早く寝ようぜ。」
それでも何かと連絡は取っているらしく、次の仕事をどうするのかなんて、考えているのかいないのか。
あたしはと言えば、ご飯を作ってクロの帰宅を待つだけの生活で、そこに大した変化は見受けられなかった。
それでも本当に旅行に行くことを決めてしまったクロのおかげで、地味にその準備なんかをさせられてるわけだけど。
「よし、これで忘れ物なしだ。」
で、いよいよ明日は温泉旅行出発の日となり、あたしは二人分のボストンバッグの中身を確認し、そして口元を上げてチャックを勢い良く引いた。
何だかんだ言いつつも、あたしだって実は楽しみだったりするのだけれど。
「明日、朝6時起床。」
「は?
そんなに早く起きてどうすんの?」
「旅行は朝からが基本だろ?」
「そんな焦らなくても、目的地は逃げないって。」
「けど、時間は待ってくれねぇだろ。」
もっともらしい言葉を並べながら、クロはそう言ってあたしに瞳を投げるのだけれど。
ひどく眩暈がし、絶対に起きられるわけがないと思いながらにベッドへと倒れ込めば、“しょうがねぇな”と、そんな台詞。
「じゃあ、朝9時出発に変更してやる。」
ミシッと小さくベッドが軋み、仰向けに寝転がっていたあたしの上に覆い被さるような状態で、クロがまたがってきて。
無意識のうちに視線を卓上の時計へと移すあたしに彼は、言葉を投げることはしないまま。
あの日以来、クロは絶対にあたしを求めようとはしなくなった。
本当はセックスなんて好きじゃないけど、でも、気を使わせているのかもしれないと思うと、不安にもなって。
「早く寝ようぜ。」