向日葵
「てゆーか、何か用?」


「別に。
つか俺、散歩してただけだから。」


「……は?」


「ほら、食後の散歩。」


コイツは本気で自由人で、まるで好き勝手に生きてるようにも見受けられる。


軽い眩暈を覚えつつもため息と一緒に煙を吐き出すと、それは風に流されるように消えていく。



「仕事しなよ。」


「じゃあ、お金借りてよ。」


「…え?」


「俺の仕事、金融屋。」


「…きん、ゆう、や…?」


そういう人って普通、ヤクザみたいな人だと思ってたけど。


だけどコイツは、そんな雰囲気なんて皆無だし、それどころかヘラヘラ笑ってるし。



「悪いけどあたし、お金は貰うものなの。」


「ははっ、お前やっぱ面白いな。」


だけどもどんな言葉を並べてみても、結局は笑われる結果にしかならず、疲れるばかりだと思わされた。


こんなんじゃいつまで経っても仕事にならないしと、未だ笑ってる顔を一度睨み、そして無視をするように煙草を捨て、一歩を踏み出した。



「どこ行くのー?」


「アンタの居ないとこー。」


「明日もここに居んのー?」


「さぁねー。」


そんな風に適当に返しあたしは、さっさと人波へと紛れた。


追いかけて来られなかったことだけは幸いだが、明日も来るつもりなんだろうかと思えば、やっぱりテンションなんて上がるはずもない。



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