向日葵

ピンポーンと、玄関のチャイムが人の来訪を告げてくれたのは、ちょうど体を起こした時だった。


それを鳴らすのは、新聞の勧誘か、もしくはあの馬鹿しか居ないのだろうなと、そうため息を混じらせながらあたしは、仕方なくドアを開けた。


開けてみれば、“うっす”と彼は、歯を見せて笑うのだけれど、そんな顔にあたしのテンションなんて下がる一方で。



「智也のくせに、何の用？」


「遊びに来てやった親友に対して、その言い方はないっしょ。」


「頼んでませんけど。」


こめかみを押さえるあたしをまるっきり無視で、智也はコンビニの袋を両手に提げ、勝手知ったるように中へと入って来て。


そして、机の上にそれを広げ始めたのだから、嫌になる。



「そんなにあたしとヤりたい？」


「ヤって欲しいなら、もっとソソる格好してくれよ。
つか、色気もねぇのにヤりたくねぇし。」


「うるさいよ。」


確かにあたしの格好と言えば、部屋着の寝起きスタイルで、若干髪の毛も乱れているけれど。


だけども勝手に人の部屋に上がりこんでおいて、その言い草はないだろう。


仕方なく智也の向かいへと腰を降ろしてみれば、彼は煙草を咥え、その煙を長く吐き出して。



「今日、仕事は？」


「休み。」


「またぁ？」


「悪い？」


とりあえず的に派遣で仕事を見つけたものの、あまり働く気も起きなくてあたしは、２，３日の短期のバイトで食いつないでいる状態。


体を売って稼いだお金を早く使い切ってしまいたいし、先のことなんてそれからまた考えれば良い、くらいにしか思えないし。



「まぁ、俺からすれば死んでないだけマシだけど。」