向日葵
『あっ、良かった!
もしかして、その携帯拾ってくれた人?』


そうだ、あたしアンタの携帯拾ったんだっけ。


放置しとけば良かったのに、今考えたら、何かに導かれていたのかもしれないね。



『マジ?
じゃあ、すぐ戻るから、そこに居て!』


本気で失礼なヤツだと思ったのが、最初かな。


アンタ速攻で電話切っちゃうし、こっちはもう、怒りしかなかったよ。



『いやぁ、サンキュウでした。』


いや、あれには驚いたの通り越して、呆れたってゆーかさぁ。


今考えてもアンタ、あれはないよ、って思う。


格好良いとか悪いとかじゃなくて、ムカつくってゆーか?


まぁ、それは変わらないところではあるけど。



『番号、教えとけよ。』


あたし達の始まりって、そんな感じだったよね。


結局どこが好きかなんて未だにわかんないし、何でこんなにも執着してるのかだってわかんない。


ただ、あんな他愛もない記憶でしかないはずのものが、こびり付いたように頭から離れないんだ。


伏し目がちに笑った顔とか、口角だけを上げた不敵な顔とか。


悲しそうな顔だって、全然頭の中から離れなくて、ホント嫌になるよ。


こんなことなら、ちゃんと好きって言ってあげれば良かった。


そしたらアンタは、あたしにもう一度、愛してるって言葉をくれたかな?


嘘でも良いから、最後に言ってくれてれば良かったのに。





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