向日葵
視線は斜に捕えたまま、フッと口元だけを上げる、いつもの顔。


振り回されたくないし、掻き乱しても欲しくない。


苦虫を噛み潰したように煙草を取り出し、そしてそれに火をつければ、煙の味を苦々しく感じずにはいられなかった。


どうやらあたしは、この男に関わり過ぎたらしい。



「食わないの?」


「食べたいなら食べれば?」


「じゃあ、何で来たの?」


「―――ッ!」


きっとコイツは、あたしの隙を突いているのだろう。


現にあたしは、そんな言葉に何も言えなくなっているのだから。



「つか、いつになったらデートしてくれんの?」


「あたし、そんなこと言ってないんだけど。」


「じゃあ、デートしろよ。」


「命令しないでよ。」


「つか、何で怒ってんのかわかんないんだけど。」


「アンタの所為じゃん!」


思わず声を荒げた瞬間、一瞬静まり返った店内の空気にハッとした。


バツが悪くて唇を噛み締めてみれば、人々はこちらの様子を伺うように声を潜める。



「何だ、結局意識してんじゃん。」


フッと口元を緩めた顔でそう言われ、やっぱりあたしは何も言えなくなって。


とてもとても、悔しくて仕方がなかった。



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