向日葵
「それより夏希ちゃん。
いつも来てくれてる彼は、恋人?」


「違うよ、そんなんじゃない。」


「そうなの?」


「うん。
でも、何があってもあたしみたいなのと一緒に居てくれる、珍しいヤツ。」


「じゃあ、大切にしてあげなきゃね。」


「…そうだね。」


おばあちゃんのご飯はホカホカで、カボチャの煮物は甘くて、そんなの全部があたたかかった。


あたたかくて、何でか知らないけど、また泣いてしまいそうで。



「ねぇ、おばあちゃん。
あたし、どうやったら強くなれるのかな。」


「人に感謝することよ、夏希ちゃん。」


「…感謝?」


「そうよ。
人を恨んだりしないで、感謝するの。
そしたら自然と、今まで見えなかったものが見えてくるようになるわ。」


随分と、難しいことを言われてしまった。


戸惑うように視線を落とすことしか出来ないあたしに、“大丈夫よ”と、彼女は告げる。



「人はね、苦しみを知った分、優しくなれるから。
だから、あなたは十分よ。」


「…おばあ、ちゃん…」


「いっぱい泣いて元気になれるなら、いくらでも泣きなさい。」


おばあちゃんは、目一杯あたしを甘やかしてくれる。


クロと離れたことが良いことだったのかはわからないけど、それでもあたしは、この出会いには感謝したいんだ。


今だけは泣いて、明日を笑顔で迎えたいと思ったから。


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