向日葵
約束の土曜日、一年半ぶりに地元の駅へと降り立ってみれば、何も変わってなくてため息が混じる。
確か昔はよく、この場所に溜まって遅くまでみんなで騒いでいたっけと、そんな記憶を手繰り寄せながらあたしは、通りを歩いた。
指定されたのは地下にある小洒落た居酒屋で、本日ここを貸し切っているのだとか。
正直、電車賃も参加費もイタいけど、だけども来なければ、何だか逃げてるみたいで嫌だったのだ。
夕暮れ色に染まる中、プレートの掛けられたビルの地下へと続く階段を降り、そしてその扉を引いてみれば、カランと小さくカウベルが鳴った。
「夏希?!
マジで来てくれたんだ!!」
いの一番で嬉しそうに近づいてきたのは電話をくれた友人で、その声に誘われるように、あたしの周りに小さな人だかりが出来た。
“久しぶりだね”なんて言葉を並べてみれば、笑顔ばかりを向けられてしまい、あたしは必死で作り笑いをしてしまうのだけれど。
だけどもそんなことにも少しばかり疲れ、適当な会話を交わして逃げるように一番奥の隅へと腰を降ろした。
懐かしい顔ぶれはどれを取っても幸せそうにしか見えず、まるであたしと真逆のようにしか感じられないまま。
本当に、一体何をしに来たのかと、そう思わされた刹那。
「夏希?」
名前を呼ばれて弾かれたように顔を向けてみれば、目の前に立つ人物の姿に、あたしは思わず目を見開いてしまう。
だけども“やっぱりそうだ!”と彼は、そんなあたしの元へと近づいてきて。
「マジ久し振りだな。」
「…智、也…」
智也は中学の頃の親友で、あたしが地元を離れた理由を知る、唯一の人間。
あの日以来、智也とは疎遠になっていたのだけれど、まさかこんな風にして再会するなんて。
確か昔はよく、この場所に溜まって遅くまでみんなで騒いでいたっけと、そんな記憶を手繰り寄せながらあたしは、通りを歩いた。
指定されたのは地下にある小洒落た居酒屋で、本日ここを貸し切っているのだとか。
正直、電車賃も参加費もイタいけど、だけども来なければ、何だか逃げてるみたいで嫌だったのだ。
夕暮れ色に染まる中、プレートの掛けられたビルの地下へと続く階段を降り、そしてその扉を引いてみれば、カランと小さくカウベルが鳴った。
「夏希?!
マジで来てくれたんだ!!」
いの一番で嬉しそうに近づいてきたのは電話をくれた友人で、その声に誘われるように、あたしの周りに小さな人だかりが出来た。
“久しぶりだね”なんて言葉を並べてみれば、笑顔ばかりを向けられてしまい、あたしは必死で作り笑いをしてしまうのだけれど。
だけどもそんなことにも少しばかり疲れ、適当な会話を交わして逃げるように一番奥の隅へと腰を降ろした。
懐かしい顔ぶれはどれを取っても幸せそうにしか見えず、まるであたしと真逆のようにしか感じられないまま。
本当に、一体何をしに来たのかと、そう思わされた刹那。
「夏希?」
名前を呼ばれて弾かれたように顔を向けてみれば、目の前に立つ人物の姿に、あたしは思わず目を見開いてしまう。
だけども“やっぱりそうだ!”と彼は、そんなあたしの元へと近づいてきて。
「マジ久し振りだな。」
「…智、也…」
智也は中学の頃の親友で、あたしが地元を離れた理由を知る、唯一の人間。
あの日以来、智也とは疎遠になっていたのだけれど、まさかこんな風にして再会するなんて。