向日葵
第二章-離合-

取捨選択

窓の外から子供が楽しそうに遊ぶ声が響く度、羨ましいと感じずにはいられなかった。


なのにあたしは、何で陽平と一緒にビデオなんか観てるのだろうと、本気でそんなことを思ってしまう。


“外に出るな”と言われたのはあの後すぐのことで、それからもう、三日は経ったんじゃなかろうか。


ちなみに、携帯は電源を切られた後、取り上げられてしまったわけだけど。


彼氏でもないくせに、何でここまでするのかがわからない。


と言うよりも、今の陽平はちょっと異常だ。


まるで犯罪でも犯しそうな雰囲気さえも漂っていて、だからこそあたしは、こうして大人しく言うことを聞いているわけだけど。



「ねぇ、お腹空いたんだけど。」


「知らねぇよ。
つか俺、腹減ってねぇし。」


昨日の夜にご飯を食べたっきりなのに、そんな風に言う陽平が信じられなくて、軽い眩暈さえも覚えた。


“コンビニ行きたい”とそう言えば、彼はあからさまに舌打ちを混じらせるのだから、嫌になる。


誰の所為でこんなことになってるんだよと、そう思うのだけれど、それを言って何度殴られたのかも、もう覚えてはいないほど。


クロとの一時は、あっちの方が夢だったんじゃないのかなと、今ではそんな風にさえ思えてくる。


一体いつまで、こんなことを繰り返すつもりなのか。


まぁ、アザだらけのこんな体じゃ、どのみち仕事にもならないのだけれど。



「てゆーかさぁ。
陽平、仕事行かなくて良いの?」


「関係なくね?」


そう一言で突き返され、やっぱりあたしはため息を混じらせた。


そして早々に寝ることを決め、未だビデオを観続ける陽平を無視し、ひとり寝室に向かったのだ。


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