向日葵
視線は真っ直ぐにあたしを捕らえて離すことはなく、震える吐息を吐き出すと、“大丈夫だから”と、そんな言葉と共に、涙の痕が拭われた。


朝の陽は窓を抜けて部屋一面を明るく染め、二人分の鼓動はあたたかな中に包み込まれた。



「痛くない?」


「痛い。
けど、慣れてるし。」


昔から、体中にアザを作ることは日常だった。


あたしが耐えることで全てが収まるのならと、そう思うことで、痛みも何もかもを受け入れていたのだから。



「そんなもんに慣れんなよ。」


そう言ったクロの顔はとても悲しそうで、見てるこっちが胸が締め付けられそうで。


あたしのためにそんな顔をしないでと、そんなことを思いながらぶつかった視線の中で、彼は小さく口元だけを緩めた。



「とりあえず、これからのことは心配すんな。」


「…でもっ…」


「お前は何も考える必要なんかねぇし、俺のために飯でも作って帰り待ってろよ。」


「…何、それ…」


ポカンとしたあたしに、クロは口角だけを上げ、スクッと立ち上がってしまう。


その後ろ姿を見つめながら、やっぱり何を考えているのかわからないなと、そんなことを思った。


だけども安堵感からか睡魔に襲われそうで、テレビをつけられると、朝のニュースにひどく平和だと思わされてしまうんだけ。


最終的にあたしは、再び隣へと腰を降ろしたクロに頭を預けるようにして、そのまま眠ってしまった。



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