【完】名のないレター
第1節
ある昼下がり、自宅から地元の中学校に所属している吹奏楽部の音色が私の胸に響く。
プップップー プップップー
受験勉強してる時であったが、フッと窓を開けてみた。
住宅街から聞こえてくる演奏曲が昔のことを思い出す。
こんな時期であった。
私が具合悪い時にカーテンを開けたら那月(なつき)が笑顔で手を振っていた。
この音色とともに訪ねたのがまさか、那月だとは知らなかった。
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