【完】名のないレター
「おーい、聞こえてる。那月」
「……ああ、聞こえてる」
「んで、どうだったの? 真奈ちゃんのとこ行ってきたんでしょ」
俺は俊と話している時にコーラを飲んでいたのでゴホゴホと咳払いした。
「…お前いきなり、真奈の名前出すなよ。ってかなんで、分かった?」
「那月、お前分かりやすいんだよ」
「はあ? 俺、分かりやすくないだろ」
俺は右手で口を拭き、那月に言った。
「いやーそんなことないよ。口元ずっと緩んでるし。しかも、ずっとボーとしてるし」
俊はそう言って調子よく俺のことを見て笑っていた。