【完】名のないレター


「やっと、昼休みだ。ごはーん!」

 杏奈は両手を上にあげて、今日一の笑顔で私に言った。

「杏奈。お腹空きすぎて変な顔になってたからね、授業中」

「え? 変な顔ってどんな顔よ」

 他愛もない会話をしながら、食べる準備をした。

「…さあ? 」

私は首を傾げて、杏奈を見た。

「それより、真奈。私に言うことあるんじゃないの」

私の話を無視して、杏奈は、違う話題を私に振った。

そして、小さいお弁当を広げ始めた。

「……」

私は学校から徒歩五分にあるコンビニエンストアで買ったシャケ弁当を開けた。

私は杏奈の顔を見て、手を止めてしまった。
「なに、どうしたの」

杏奈は私の動作が止まったことに違和感を感じて、私に聞いてきた。

 私は下に俯きながら、ポツリと声を発した。

「…夢の中で茶髪の男の子が私に手紙を渡してきたの。でも、それは現実でもあったの」

「はあ? どういうこと」

 杏奈ははあ? と口を開けたまま私に言った。
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