【完】名のないレター
第2節
*
ほんと、誰なんだろう。
どう考えても、分からない。
思い出しても、思い出しても頭の中に出てくるのは、夕日が陰に隠れて、茶髪の男の子の顔がぼんやりとしていることだけ。
私は学校が終わったら、家に帰宅した。
いつもは那月と一緒に帰るが、杏奈に那月の伝言を頼み、学校を去った。
そして、家に帰宅した後、階段を駆け上がり、私の机の引き出しを開いた。
でも、何年ぶりに読んだ手紙は誰なのか見当もつかなかった。
「…ほんと、誰なの。気になって寝れないよ」