【完】名のないレター
真奈(まな)、これ読んでほしい。誰?
私を呼んでいるのは……。
照れくさそうに私を見てから、茶髪の男の子が手紙を差し出してきた。
目元にはほくろがあって、凛とした声が印象的であった。ぼんやりとした茶髪の男の子の顔が思い出せない。
「真奈! 真奈!」
「う、うん?」
「起きて。次、移動!」
私は元気あふれる声の主に起こされた。
この声の主は須藤杏奈(すどうあんな)。
私の唯一の親友であり、何かあるとすぐ杏奈に相談する。