【完】名のないレター

ましてや、あの那月なのか。

「真奈!」

「おおっ」

「なに、その顔」

 トボトボと学校に行く道を通っていたら、私の後ろから声をかけてきた。

考えていた傍から、那月が来てしまったのだ。

「…手紙見た?」

 手紙、母さんからもらった手紙の事ね。

でも、まだ読んでない。
昔と同じ便箋で私は動揺していたからか、中身まで見ていない。

「今、開けてみて」

 那月は、くしゃと目元を皺がよせるくらいに笑顔で私に言った。

「…分かった」

 私はその笑顔に勝てなくて、カバンから手紙を取り出して那月の前で開いた。

 すると、ぺらっと開いたら、一枚の写真であった。

「何、これ」
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