【完】名のないレター
「…え? 私、寝てた! やばい、さっきの授業聞かないと次回のテストに響くのに」
私は顔に跡がついていないか確認するために手で顔を触った。
それを察したのか杏奈は、ついてないから大丈夫と言ってから私の顔を見て心配そうな表情を浮かべた。
「…寝てたよ。真奈が寝るなんて珍しいよね。勉強も部活も一生懸命にこなしてるのに」
一生懸命か。
校則通りの制服を着こなしたスカートを握りしめ、なぜかこんな真面目の自分をみっともなくなった。