【完】名のないレター
真奈は席に座っていたが、椅子をガタッと音を立てながら俺の方に向かってきた。
俺の目の前につき、真奈は、なに? と不機嫌にしていた。
「…真奈、好きだ」
俺は素直に真菜に口にした。周りに真奈の同級生がいると知っているのに。
周りにいる同級生達は、なになに? 何事と俺たちの方を見ていた。
それに気づいて俺は真奈の左手首を掴んで、屋上に走り出した。
「…え? ちょ、ちょ、待ってよ! 那月!」
叫んでいる真奈を無視して、強引に真奈を連れて屋上へ駆け上る。
「ふぅー、着いた」
「急に走り出すのやめてよね。心臓に悪い」
はあはあと息切れをしながら、真奈は俺に言った。
「…ダセェ。相変わらず、体力ねぇな」
「…うるさい。なんなのよ、もう。屋上まできて、なんの用事?」
真奈は左手を腰につけて、両足をひろげて俺に言った。
「…大切な話なんだ。ちゃんと聞いてほしい。
「なによ」
俺は、珍しく真剣な表情になったので、真奈は目を丸くしていた。
「…昔、真奈に手紙あげたの覚えてる?」
「手紙?」
やっぱり、覚えている訳ないよな。
がっかりした瞬間、真奈が両手で胸もとにぎゅと拳を握りしめながら言葉を発した。
「…もしかして、茶髪の男の子が那月なの?」
嘘も偽りのないキラキラした瞳で真奈は俺を見てくる。