【完】名のないレター

「…真奈、あのさ、返事はいつでもいいから」

 そう言った瞬間、真奈はまだ雨が降っているのに、涙ながら言葉を発した。

「…好きだから、私も」

 か細い声で下に俯きながら、俺に言った。

真奈の口から聞きたかった言葉。

 それが、俺の目の前にして真奈が言っている。

「…ほんとだよな」

「うん、好きだよ」

 真奈は笑顔で俺に笑いかけてくれた。
 ほんとだ。

「真奈」

「なに?」
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