【完】名のないレター

私をじっと見つめて、那月は私に言った。
 その言葉に私は返事できなかった。

那月が前を向いた瞬間、なぜか悲しさが襲ってきたのだ。

茶髪の男の子じゃないのに、那月があの男の子に見えたのだ。

でも、それは那月ではない。

那月はずっと黒髪だから。

那月が離れた瞬間、お礼を言っていないことに気づき、大声で那月に叫んだ。
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