騎士団長のお気に召すまま
濃藍の小路
夜会の翌日、シアンと共に基地に戻ると、すでにフォルストのことで話題は持ちきりだった。
どうやら数日前からフォルストの動きに不穏なものがあったようで、それが表面化しているらしい。
そしてこの状況を知るのは騎士団だけにとどまらず、この国の民達も少しずつ分かってきているようだ。
騎士団にどうにかしてほしいという苦情が朝から絶えないと報告も上がってきていた。
かくいう団長も多忙を極めていた。
詳しいことは裏方として働くアメリアには分からなかったが、このフォルストの案件についての情報収集やら、他の騎士団との連携などの書類仕事が増えているせいだった。
おかげでいつもよりも紅茶を頼まれる回数が増えている。
紅茶を淹れるたびに「まずいですね」とシアンは眉間に皺をつくるが、それでもそのまずい紅茶を啜りながら資料に目を通していた。
そんな中、団長室をノックする音が響いた。
その音で団長は顔をあげ、同時に副団長のレオナルドが大量の資料を抱えて入ってきた。
「団長、こっちも目を通してくれ」
「またですか」
シアンはまたひとつ溜息をこぼす。
今朝からずっと机仕事をこなし指示を出してばかりいたシアンはただでさえいつも以上に資料に目を通しているのだ。これ以上活字を見たくないという気持ちも分からなくない、とアメリアは少し同情した。
「国王様からだ。早急に目を通すようにと」
「国王が?」
「詳しい内容は分からないが、フォルストの案件についてだ。フォルストの件は国王陛下もご存知のようだ」
文書を預かり目を通すと、「副団長」と静かにレオナルドを呼んだ。
「これから調査に出ます。場所はマリル港」
「は、マリル港に、今から?まさかお前が行こうと思っているんじゃないだろうな?」
どうやら数日前からフォルストの動きに不穏なものがあったようで、それが表面化しているらしい。
そしてこの状況を知るのは騎士団だけにとどまらず、この国の民達も少しずつ分かってきているようだ。
騎士団にどうにかしてほしいという苦情が朝から絶えないと報告も上がってきていた。
かくいう団長も多忙を極めていた。
詳しいことは裏方として働くアメリアには分からなかったが、このフォルストの案件についての情報収集やら、他の騎士団との連携などの書類仕事が増えているせいだった。
おかげでいつもよりも紅茶を頼まれる回数が増えている。
紅茶を淹れるたびに「まずいですね」とシアンは眉間に皺をつくるが、それでもそのまずい紅茶を啜りながら資料に目を通していた。
そんな中、団長室をノックする音が響いた。
その音で団長は顔をあげ、同時に副団長のレオナルドが大量の資料を抱えて入ってきた。
「団長、こっちも目を通してくれ」
「またですか」
シアンはまたひとつ溜息をこぼす。
今朝からずっと机仕事をこなし指示を出してばかりいたシアンはただでさえいつも以上に資料に目を通しているのだ。これ以上活字を見たくないという気持ちも分からなくない、とアメリアは少し同情した。
「国王様からだ。早急に目を通すようにと」
「国王が?」
「詳しい内容は分からないが、フォルストの案件についてだ。フォルストの件は国王陛下もご存知のようだ」
文書を預かり目を通すと、「副団長」と静かにレオナルドを呼んだ。
「これから調査に出ます。場所はマリル港」
「は、マリル港に、今から?まさかお前が行こうと思っているんじゃないだろうな?」