騎士団長のお気に召すまま
本来なら、戦闘能力のないアメリアが危険地帯に出向くというのは止められて当然のことだ。

それを分かっていながらレオナルドはアメリアを支持してくれた。

その支持なくてはあのシアンを納得させることはできなかっただろう。

するとレオナルドは「そりゃなァ」と思い出すような仕草をしながら少しだけ振り返って笑った。


「あんだけ強い意志を持っているんだ、応援したくなるってもんさ」


その言葉に感動して胸を打たれていると、「団長同様アメリア嬢も一度決めたら変えそうにないからなァ」なんて茶化す。

怒ろうとしたけれど、それより先に「頑張ろうな」とレオナルドは言った。


「すごい調査結果でも持って帰って、ハトが豆鉄砲食らったみたいな団長の顔を拝もうや」


その言葉に思わず笑ってしまったアメリアだが、芯のある声で返事をした。


「ええ、頑張りましょう!」


それから前を見据える。

潮の香りは先ほどよりも強く漂ってきて、微かに人々の声も聞こえてくる。

マリル港はすぐそこだ。



マリル基地に到着したアメリアと副団長達はすぐにマリル港の基地長に現状について聞かされた。

「マリル基地の団員の半分はすでに団長の命令で調査に出かけています。軍服を着ているのですぐに分かるかと」

「調査の結果は?」

「現地点における調査結果はまとめてすでに団長に提出してあります」

穏やかな優しい雰囲気が印象的だった基地長の表情は固く、どことなく疲れているようにも思えた。


「しかし、現状は思っていたよりも悪いです。

確実にフォルストが我が国へ仕掛けてきています」

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