騎士団長のお気に召すまま
群青の未来
アメリアが次に目覚めたときには、全てが終わっていた。

アメリアはマリル基地の医務室の寝台に寝かされて治療も受けたのだが、傷自体は大したことはなかった。疲れと緊張からか3日ほど寝続けたらしい。

目を覚ましたアメリアに治療をしてくれた医者がそう教えてくれた。


医者が言うには、アメリアが基地に運ばれた後、シアン達はフォルスト一行と共に基地に向かったらしい。

それからフォルスト王と我が国の国王陛下が話し合いをして、両国は戦争をするわけでもなく同盟国としてフォルストを助けるために動きだすことになったのだそうだ。

そのため止まっていた国外からの物資も届き始め、生活は元に戻りつつあるらしい。


「良かった…」


アメリアは安心して息を吐き出した。

それを見た医者は指で頬をかきながら「そうでもないかも分らんなあ」なんて言い出した。


「一段落したから基地によると団長が言っていた」

「え、シアン様が、ここに?」

「今日になるかな、と言っておられたと思うがのう」


すると基地の伝令役が医務室に入ってきた。


「失礼します、伝令です。…あ、アメリア様ですね」


寝台の上に起き上がるアメリアを見つけた伝令役は「団長からのお達しです」と高らかに宣言した。


「今いくからそこを離れたら許さない、とのことです」


アメリアは青ざめて言葉を失った。


「失礼します!」と伝令役は元気よく医務室を後にするが、アメリアの心臓は恐怖で高鳴っていた。


アメリアはあの時、シアンの心配を押しきってエディに捕まったのだ、怒られるに違いない。

医者もそれを分かっているらしく同情の目で肩を叩いた。

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