騎士団長のお気に召すまま
「琥珀の髪も、薔薇色の瞳も、雪のような白い肌も、とても稀で美しいものです。そう、それはまるで宝石のように」
もう何度目かも分からないロイドの誉め言葉にアメリアは飽き飽きしていた。
「ええ、お父様とお母様がよい遺伝子をくださったわ!」
「いえ、そういう意味ではなくてですね!」
ロイドが反論しようとしたが、それに被せるようにしてアメリアが言い放つ。
「それに、見合いは結構よ」
「え?」
「私には許嫁がいるの。とっても貧乏だけれど、これでも子爵家のご令嬢だから」
自分のことを言っているのに、どこか他人のことのようだ。まるで自分のことのようには考えられない。今の生活を考えると貴族令嬢という身分はどこか現実味がないのだ。
「許嫁?」
「ええ。ロイドは知らなかったかしら」
アメリアは首を傾げるロイドを見つめながら、それも仕方がないことだと思った。ロイドは一度もアメリアの許嫁と会ったことがないのだ。
「どなたなのです?」
その問いかけにアメリアは一瞬口を閉ざして、それからその名前を口にする。
名前を口にすることすらおこがましい、高名な彼の名を。
「アクレイド伯爵の弟君、シアン・アクレイド様よ」
目を見開いたロイドは、すぐに「ご冗談を」と笑った。
「こんな時にご冗談をおっしゃるなんて、お嬢様はお人が悪い」
ロイドが信じられないのも仕方がないことだった。
シアン・アクレイドは、国内でも名高い青の騎士団の団長、"青藍の騎士"の名であるからだ。
もう何度目かも分からないロイドの誉め言葉にアメリアは飽き飽きしていた。
「ええ、お父様とお母様がよい遺伝子をくださったわ!」
「いえ、そういう意味ではなくてですね!」
ロイドが反論しようとしたが、それに被せるようにしてアメリアが言い放つ。
「それに、見合いは結構よ」
「え?」
「私には許嫁がいるの。とっても貧乏だけれど、これでも子爵家のご令嬢だから」
自分のことを言っているのに、どこか他人のことのようだ。まるで自分のことのようには考えられない。今の生活を考えると貴族令嬢という身分はどこか現実味がないのだ。
「許嫁?」
「ええ。ロイドは知らなかったかしら」
アメリアは首を傾げるロイドを見つめながら、それも仕方がないことだと思った。ロイドは一度もアメリアの許嫁と会ったことがないのだ。
「どなたなのです?」
その問いかけにアメリアは一瞬口を閉ざして、それからその名前を口にする。
名前を口にすることすらおこがましい、高名な彼の名を。
「アクレイド伯爵の弟君、シアン・アクレイド様よ」
目を見開いたロイドは、すぐに「ご冗談を」と笑った。
「こんな時にご冗談をおっしゃるなんて、お嬢様はお人が悪い」
ロイドが信じられないのも仕方がないことだった。
シアン・アクレイドは、国内でも名高い青の騎士団の団長、"青藍の騎士"の名であるからだ。