騎士団長のお気に召すまま
「だから私は絶対にシアンと結婚するわ」


このミルフォード家を救えるのなら何だってやってみせよう。今のアメリアは強い決意で充ち満ちていた。

拳を握って立ち上がったアメリアに、ロイドが「お嬢様、その調子です」と脳天気に拍手を送っていると、アメリアの自室の扉が荒々しく開いた。


「アメリア!」


入ってきたのはアメリアの父、ミルフォード子爵だが様子がいつもと違った。そのつぶらな目を見開いてとても慌てている。


「ア、アメリア、大変だ!た、大変なことになった!お、おち、おち、落ち着いて聞きなさい!」

「落ち着くのはお父様の方です!深呼吸でもなさってください!」


アメリアは溜め息を吐きながら、まっすぐ父親を見つめてそう述べた。

ミルフォード子爵はアメリアの言葉を聞いて「た、確かに」と頷くと大きく深呼吸を3回ほどした。


「落ち着かれましたか?」

「ああ、すまない」

「お父様がそれほどまでに取り乱されるほどのことが起こったのですか?」


アメリアの頭には嫌な予感が過っていた。

何せ先ほど大量借金を抱えて倒産寸前と言われたばかりなのだ、これ以上になにか悪いことが起こってもらっては困る。


「アメリア、落ち着いて聞きなさい。

シアン・アクレイド様が今日おいでになるぞ」



アメリアはロイドと顔を見合わせた。



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