騎士団長のお気に召すまま
薄青のドレス
マリル港に見回りに行ってから数日後、騎士団で働くアメリアの元に一通の手紙が届いた。

その中身を確認したアメリアは目を見開く。

内容は、夜会への招待状。

差出人は、あのミア・キャンベルだったのだ。



「へえ、ミアが夜会を」

夜会の招待状に目を通したシアンは「そう来ましたか」と憂いた笑顔を浮かべて呟いた。

マリル港で会ったときに、確かにミアはアメリアにまた会おうと言っていた。言っていたが、まさかこんな形になるとは思ってもいなかった。


「なぜミアどのは私のことがお分かりになったのでしょうか?」


マリル港で会ったときに、アメリアは平民の服装をしていた。そして名乗ってすらいないのに。

不思議に思っていると、シアンは「それくらいのことはするでしょうね」と溜息を吐いた。


「ミアは伯爵家令嬢です。そして我がアクレイド家との親交もある。新たに青の騎士団に入団した者の名前なんて簡単に調べられるでしょう」

「そんな…」


アメリアは絶句した。

つまりミアはアメリアの素性を知っているということ。貧乏子爵家の令嬢だと分かっているということだ。

どんな仕打ちに遭うだろうかと考えるだけでも恐ろしい。


「できるのであれば夜会には出たくありません」


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