臆病でごめんね
その表情といい声音といい、私には向けた事のない愛想の良さだ。
この人だけに限らず、他の先輩達も正社員に対して皆こんな感じで接している。
私ももちろんわざわざ居丈高な態度を取ろうとは思わないけれど、だからといってここまでへりくだる事もできない。
派遣だからってそんなに卑屈になる必要なんてないじゃないか…と思ってしまう。
台車を押しながら足早に入室してきた女性は、通りすがりに私をチラリと見ると、いかにも可笑しそうにクスリと笑った。
おおかた『この子また怒られてるよ』なんて思っているのだろう。
先輩はお小言が多いから、こういった場面を社員に目撃されるのはこれが初めてではない。
特にこの方には既に3回くらい見られてしまっている。
秘書課の中では一番新人らしいし、あれこれ用事を言い付けられて社内を動き回っているからそれだけ遭遇する確率が高いのだろうと分析しているけれど。
ついてないな。
これでまた彼女にからかいのネタを与えてしまった。
「ちょっと外田さん。何ボーッとしてるの」
すると先輩はまたもやダメ出ししてきた。
「早く教えた通りにやって。私は私で他の処理があるんだから」
「は、はい」
私は急いで返答すると、改めて機械に向き直った。
この人だけに限らず、他の先輩達も正社員に対して皆こんな感じで接している。
私ももちろんわざわざ居丈高な態度を取ろうとは思わないけれど、だからといってここまでへりくだる事もできない。
派遣だからってそんなに卑屈になる必要なんてないじゃないか…と思ってしまう。
台車を押しながら足早に入室してきた女性は、通りすがりに私をチラリと見ると、いかにも可笑しそうにクスリと笑った。
おおかた『この子また怒られてるよ』なんて思っているのだろう。
先輩はお小言が多いから、こういった場面を社員に目撃されるのはこれが初めてではない。
特にこの方には既に3回くらい見られてしまっている。
秘書課の中では一番新人らしいし、あれこれ用事を言い付けられて社内を動き回っているからそれだけ遭遇する確率が高いのだろうと分析しているけれど。
ついてないな。
これでまた彼女にからかいのネタを与えてしまった。
「ちょっと外田さん。何ボーッとしてるの」
すると先輩はまたもやダメ出ししてきた。
「早く教えた通りにやって。私は私で他の処理があるんだから」
「は、はい」
私は急いで返答すると、改めて機械に向き直った。