臆病でごめんね
それからしばらくして、今度は会議室の鍵が必要になり、管理をしている庶務課にお邪魔した。
「あ、そうだ。それ、ついでに持っていってもらおうかしら」
鍵の授受を終えた後、課内で一番ベテランと思われるその女性社員は私の左後方を指差しながらそう言葉を発した。
「シュレッダーゴミなの。よろしくお願いしますね」
「え…」
しかし私は大いに戸惑った。
ゴミはまとめた人が、フロアごとに設けられている給湯室まで持って行き、室内の分別ワゴンに入れておく決まりになっている。
そして定刻にクリーンスタッフが回収し、地下の集積所まで持っていくのだけれど、会議室の鍵を取りに来た私が、何故そんな雑用を請け負わなければならないのか…。
「…分かりました」
そう思いはしたものの、すぐに仕方ないと考え直し、了承した。
それが派遣の私の宿命だものね。
「あ。ちょっとあなた何やってるの」
しかし、段ボール箱を抱えて退室しようとした私は件の女性に慌てたように呼び止められた。
「それじゃないわよ。奥側にある大きい半透明のビニール袋の方を持って行ってって言ってるんだけど」
「え…でも、先ほどこれを指差しませんでしたか?」
「たまたま手前にあっただけでしょ」
「それでしたら最初からそう言っていただかないと…」
私の正論に一瞬絶句した後、女性は眉を吊り上げて話を再開した。
「あ、そうだ。それ、ついでに持っていってもらおうかしら」
鍵の授受を終えた後、課内で一番ベテランと思われるその女性社員は私の左後方を指差しながらそう言葉を発した。
「シュレッダーゴミなの。よろしくお願いしますね」
「え…」
しかし私は大いに戸惑った。
ゴミはまとめた人が、フロアごとに設けられている給湯室まで持って行き、室内の分別ワゴンに入れておく決まりになっている。
そして定刻にクリーンスタッフが回収し、地下の集積所まで持っていくのだけれど、会議室の鍵を取りに来た私が、何故そんな雑用を請け負わなければならないのか…。
「…分かりました」
そう思いはしたものの、すぐに仕方ないと考え直し、了承した。
それが派遣の私の宿命だものね。
「あ。ちょっとあなた何やってるの」
しかし、段ボール箱を抱えて退室しようとした私は件の女性に慌てたように呼び止められた。
「それじゃないわよ。奥側にある大きい半透明のビニール袋の方を持って行ってって言ってるんだけど」
「え…でも、先ほどこれを指差しませんでしたか?」
「たまたま手前にあっただけでしょ」
「それでしたら最初からそう言っていただかないと…」
私の正論に一瞬絶句した後、女性は眉を吊り上げて話を再開した。