【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
関係ない私まで立ち入っていいのか分からない、錆びた倉庫。
そんな私を見かねた蘭君に背中を押され、恐る恐る足を踏み入れると。
錆びた倉庫は外見とは違って、中はとっても綺麗。
「遅かったね、蘭。
デートでもしてたの?」
黒色のソファに腰掛けている歩夢さんに、嫌味?にしては嬉しすぎる言葉を言われて、少しだけドキッとしてしまったのも事実。
だけど蘭君は「ふざけんな。誰がこんな女と」と。
そっぽを向いて心底嫌そうな横顔を見せてくるから
私の気分は下へ下へと、墜落してしまった。
「やっぱり折れてたんだ、腕」
蘭君の腕に固定されているギプスを見て、歩夢さんが言う。
「あー...ああ。
まあでも大したことねえよ」
「でもその手じゃ、バイクには乗れないね」
「片手だけでもイけるだろ」
「バカ言うなよ。
総長を敵から守れなかったってだけでも、俺ら幹部の立場がないのに。
これ以上怪我なんてされたら、それこそ"紫蓮想(しれんそう)"の恥だ」